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2020年10月01日 by 池永 寛明

【交流篇】ワークがどう、ライフがどうではなく、「どう生きるか」が重心となる


■ワークとライフが溶けあうと
コロナ禍から本格的にはじまったテレワーク。当初「強制的」にはじまったテレワークも半年が経つと、普通になろうとしている。生活の中になじみだしていくと、ワークがどう、ライフがどう、ワーク&ライフバランスがどうではなくなる。これまで朝起きて身支度して、家を出るとワークがはじまる。通勤して会社で働き、また通勤して家に戻ってライフがはじまり、夕食、団欒、就寝とライフをすごし、翌朝に目を覚まして、またワーク…と、ワークとライフを2分させた1日のサイクルを月曜から金曜まで繰り返し、土日はライフというように、1日単位、1週間単位で「ワーク」と「ライフ」の時間を区分してすごしてきた。



コロナ禍をきっかけに、テレワークでワークとライフが溶け合っていく。ワークのなかにライフが入り、ライフのなかにワークが入りこむ。となると、ワークがどう、ライフがどうではなく、「どう生きるか」が重心となっていく。


コロナ禍から、「テレワーク」がはじまり、1ヶ月2ヶ月過ぎ半年となると、それが普通となった。「移動」制限によってテレワークで自宅中心の1日となるなか、その人にとっての「場」が変わり、その人の1日の「時間」の使い方・配分が変わる。そしてそれは人と人との「関係性」を変えていく。


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これまで通勤・通学時間が片道1時間半かかっていたとしたら、「自分時間」が1日3時間増える。1日から会社・学校時間と睡眠時間をのぞいた「自分時間」が6時間から9時間となる。自分時間が1.5倍も増え、かつワークとライフが溶けあう。それが現在進行形で進んでいる。その自分時間をどう使うかで、コロナ禍後に大きく変わる。


■テレワークは慣れる
コロナ禍のなか、「テレワーク=分散ワーク」が普通となると、仕事の場所と仕事の時間が変わる。仕事そのものが変わる。仕事と人材が棚おろしされる。仕事の進め方が変わり、「質」が求められる。会社とは社(やしろ)に会うと書き、「目的や事業のために同士の者が作った集まり」のことであるが、copanyは「パンを一緒に食べる仲間」が語源であるが、テレワーク、分散ワークの進展で、これから物理的に一人もいない「場」となる可能性もある。
当初はしっくりいかなくても、慣れる。WEB会議もインターネット授業も定例になれば、慣れる。コロナ後になっても、元には戻らない。そうなると、“会社って、なんだろう?”“みんなが毎日集まって、同じ空間に一緒にいるということはなんだろう” “会社の建物、スペースは、こんなに大きくなくてもいいのでは”となる。


■集団から個の時代へ
これまで、「毎日、ひとつの場所に集まって、朝から晩まで一緒に頑張る」というのが「働く」というスタイルだった。もともと自分一人でおこなっていた事柄を分業して、他人の力を集結して1を2にも4にも10にもしてきた。それがコロナ禍で集団から個の時代となり、「分散しながら、つながって、連結する」こととなり、仕事の出来上がりを考え、それを実現する役割分担を明確にし、それぞれの役割を担う1人1人がネットワークでつながって連結して目標達成をめざそうとするようになる。


■家と会社の再定義による場の変化
とはいうもののテレワークがすべてというわけではない。テレワークは便利がいい。ライフを充実できる。しかし仕事を深めたり、幅を広げることはなかなかできない。オフィスと比べると、家は狭く、天井高が低いので窮屈。自宅で1人ワーク、コワーキングスペースで1人ワークしていると、「仕事をこなす」にはいいが、ふと自分は取り残されているんじゃないかと不安になる。そうなっていくと、家以外の場で、みんなと同じ「場」にいたい。交流を通じて、なにかを生みだす場・仕組みが必要となってくる。

ではどうなるのか。テレワークで、できることとできないことがある。オフィスはどういう場となるのか。家のなかでワークとライフが溶けあい、テレワークで働く人たちが抜けていくオフィスはどういう場となるのだろうか。仕事において重要な視点がある。仕事には、1人でおこなった方がいいワークと、複数でおこなったほうがいいチームワークがある。「1人ワーク」は与えられた仕事をこなし、「チームワーク」は仕事をうみだし、仕事を深め、仕事を広げる。この視点から、家とオフィスを再定義すると、



となる。このように場が再定義されていくなか、ワークの拡張とともに、ライフも拡張する。このような変化が人々の価値観を変えることとなり、場はさらに大きく変わる。テレワークは家だけではない。家とオフィスに加えて、コワーキングスペース、セカンドハウス、フリースペースといった「第3の場」を取り込んでいくこととなる。またライフが拡張して、目的別に他拠点ライフをすごすこととなり、ライフとワークを溶け込ませた生き方をすることになる。短期の旅行から、ロングステイの旅行、そしてワークとライフを組合せたワーケーションが働き方、生き方において、これからの普通となっていくかもしれない。



「コロナ禍が収束すれば元に戻る」という人もいるが、当面は集中構造で社会・経済が成り立つ構造を残しながら分散してテレワークが進んでいくこととなるだろう。しかしリモートワークが定着・進化して、5年が経ち10年が経てば、大きなオフィスフロアにみんなが集まって働いたという経験がない人が増え、それが普通になっていく。そしてもうひとつ大事なことは、これを意図して進めるか、強制されて進めるかで、変化の姿は大きく変わる。あなたの会社はこのどちらを選ぼうとしているのだろうか。


(エネルギー・文化研究所 顧問 池永 寛明)


〔日経新聞社COMEMO 9月30日掲載分〕