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2017年06月22日 by 池永 寛明

【場会篇】 おじいちゃん、頑張って

     

 

おじいちゃん、頑張って ─ 70歳の部に出場され畳の上で戦っておられる選手にお孫さんらしき子どもの声援が飛ぶ。現役の試合では感じられないアットホームな空気が流れる。畳の上で戦っている敵・味方それぞれの選手を応援しあうという優しさ、試合をした選手どおしが試合後に肩を抱きあい健闘をたたえあい記念撮影などをおこなう、マスターズならではの風景である。とはいうものの、試合の気迫はすごい。現役さながらの戦いである。

 

14回日本マスターズ柔道大会が和歌山県白浜で開催された。35歳から92歳まで、日本のみならず世界から、男女の柔道家600名が白浜に集結した。“生涯スポーツ”といわれるが、現役さながらの試合が繰り広げられる。むしろ体力的には現役におとるかもしれないが、柔道への想い、柔道への熱意、柔道思考力はむしろ上回っているのではないだろうか。

大阪ガスの柔道部長として大阪ガスの柔道部・OBエネルギー会社の柔道関係者とともに参加した。団体戦は電力会社とガス会社で構成した「エネルギーチーム」として出場した。柔道の技の部、団体戦、年齢・体重別に分かれた個人戦に分かれ、激戦が繰り広げられた。

 

毎年感じることだが、マスターズはとにかくすごい。現役をおえてから何年も何十年も柔道を継続しつづけられる気力、家族の理解を含めて驚かされる。ましてや70歳、80歳で、どうしてこんなに体が動き、技が決まるのだろうか?と感動する。大外刈り、一本背負い、巴投げなどの技が綺麗にきまる。毎日のように道場に通い、稽古をしている人もいる。「柔よく剛を制す」というが、必ずしも大きな人が勝つわけではない。“相手の力を活かして相手投げる”という柔道の本質をマスターズ会場で見出した。

 

柔道は格闘ではない。

そもそも柔道とはなにか?道とは中国哲学でいう人が通るべきところ。それを実践することで、道徳的規範や普遍的な法則を体得し、道の対象となるものを極めることで心身の成長を図るものと、なんども教えられた

 

では、柔道とはなにか?

マスターズの試合を見ながら大阪ガス柔道部松本監督に訊ねた。松本監督は「礼に始まり、礼に終わるというが、礼に盛り込まれる内なる精神を外に表現することではないか?それがたんなる格闘技と柔道のちがいではないか」と。

 

柔道の作法とは、なにか?

道場に入るときに礼、稽古を始めるときに礼、人の前を通るときに礼。では、なにに、だれに対して礼をするのか?年長者を敬う、相手を敬う。とりわけ“相手を投げる”ときは、かばい手をする。なんのためか?投げられる相手が怪我をしないためである。また道場で稽古をしていて寝技に入ると、周りの人がさっと「壁」をつくり、寝技をしている人たちを他に稽古をしている人から守る

 

柔道には「受け身」がある

相手に投げられたとき怪我をしないよう、ダメージを軽減する姿勢であり、動作が「受け身」である。「受け身」は柔道をはじめてまずおこなう。「受け身3年」といわれるが、基礎を身につけてから乱取りをするというのが柔道で修練するプロセスである。

 

柔道には「100の技」がある。

柔道には相手と組み合って投げる(手技、腰技、足技、捨身技)、固める、締めるという100ほどの技があるが、技を使うとき、相手思いやる思いを致す気持ちがなければ、たんなる喧嘩でしかなくなる。柔道の心は相手のことを想うだけでなく、自らの心しずめ自らを顧みるためのものである。稽古の前と後で畳に座り目閉じ静かに思いをめぐらす「黙想」が柔道の作法で、自分の心との対話である

 

エネルギーチームは残念ながら敗れた。惜しいが、清々しかった。「また来年会いましょう」と会場のいたるところで選手どおしが声をかけあうのがいい。

 

エネルギー・文化研究所 所長 池永寛明

 

〔CELフェイスブック 622掲載分

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