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2017年03月21日 by 池永 寛明

【起動篇】 親子の対話が生まれる─近鉄上本町店企画展にて

    

 

“わたしたちのうえほんまち80年のあゆみ展”の写真を見ていて気づいたことがある。戦前、昭和初期に撮られた写真に出てこられる人々の「姿勢」がよい。すっと筋がとおった姿勢である。企画展で紹介されていた生國魂神社の祭りに参加する男性は精悍。上本町を歩く女性の着物姿は美しい。現代の猫背気味の前かがみの姿勢と比べて、その頃の日本人の姿勢は美しい。どうしてこのように日本人の姿勢は変わったのだろうか?

 

住環境・食生活の変化などが影響しているだろうが、日本人が歩く距離が短くなったということも影響しているだろう。江戸時代に2万歩だった1日当たりの歩く歩数が、現在1.3万歩と半減している。町を歩く人で姿勢の良い人が珍しくなるくらい、日本人全般に姿勢が良くない。歩くなかで体を支える筋肉がつき姿勢がよくなるといわれるが、古い写真に日本人の姿勢の良さに見入った。 

 

近鉄上本町店にて「わたしたちのうえほんまち80年のあゆみ展」が開催された。おそらく近鉄のご担当者が地元の住民、商店、企業と自治体を走りまわり声をかけ、手づくりでつくりあげたであろう地域密着型の企画展。大阪ガスもかつて上本町に営業所があったこと、今はNEXT21が上本町にあることからも、地域コミュニテイとともに発行している「上町台地今昔タイムス」を、今企画展でご紹介いただいた。

  

昭和初期、戦前、戦後、高度成長期、現在という時間軸のなか、80年のまちや人、地域の行事の変遷が住民目線で捉えられ、写真パネルの下に来場者のコメントがその場で書ける住民参加型、対話型の展示会だ。ひとつの写真に複数の記憶が重なり、新たな思い出が創出されていく。

その地域にかつて確かに存在した歴史や記憶は、地域の人が持ち寄り、地域の人々で共有することで、掘り起こされ、再起動するものなのだろう。

 

会場には想像以上に沢山の地域の方が来られているが、とりわけ親子で来られているお客さまが多く見うけられ、「あの頃はこうだったね」「そんなことがあったんだ」「このお店に、よく行ったね」などと、会場のあちこちで会話されている姿が印象的で、感動的だった。

 

当企画展の一環で出店されている堺あるへい堂さんの、天王寺蕪をはじめとする「大阪の伝統野菜をつかった飴」は好評で、「地産地消」が地域を愛する気持ち・シビックプライドを形にするものとして象徴的だ。そして、このような地域の方々と同じ目線で地域とともに共創し、地域を愛する百貨店は、すごい。

 

(エネルギー・文化研究所 所長 池永寛明

 

〔CELフェイスブック 95掲載分

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