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2013年08月20日 by 栗本 智代

第62回目を迎える伊勢神宮の式年遷宮

昔から人々の憧れであった「お伊勢参り」。特に今年は二十年に一度の“式年遷宮”という特別な年というので、私もお参りしてきました。

橋を渡り参道に一歩踏み込むと、そこは樹齢数百年の杉の木立に囲まれた神域。木漏れ日の中に建つ檜造りの社殿はとても美しく、あたり一体、澄んだ空気が満ちていました。

遷宮は第一回が飛鳥時代の690年(持統天皇4)に行われ、今年が第62回です。社殿や屋根を常にすがすがしく保つことや、宮大工や工匠が伝統と技術を次代に伝承していくことなどが理由ですが、特に伊勢神宮の遷宮は、社殿や鳥居、橋をはじめとする65の建造物をすべて新造し、装束や御宝1600点余りを造りかえるという驚くべき大事業です。

祭神は、まずは日本神話でも最高神とされる天照大御神。他にも五穀豊穣、産業守護といった、私たちの暮らしや天地を大きく包み込み見守る神々が鎮座しており、遷宮がこれだけ大規模になるのもわかる気がします。

 実は、伊勢信仰が隆盛を極めたのは江戸時代です。御師という中下級の神職にあたる人が、神宮のありがたみを説いて全国を回り、初穂料を得、各地からの伊勢参詣への旅もコーディネートしたのです。農民は参詣費用を積み立てるため講をつくり、毎年代表者を参拝に送り出しました。あらかじめ御師に送金して入手した講札を見せると、既に手配された道中の茶店や宿屋が利用できるという仕組みで、多額の金銭を持たずに楽に旅ができたわけです。御師は現地で旅人を迎えもてなしたといいます。まさにクーポン券やパッケージツアーの始まりと言えます。

昔は徒歩の旅でしたが、今は鉄道でも車でも比較的短時間で往復でき格安ツアーも出ています。気楽に観光気分で訪れても、日本人が長年あつく信仰してきた神様のそばに立つと、不思議と謙虚になれます。歴史の重みとともに、目には見えない大きな力の存在を感じ、自身を見つめることができる、なかなか貴重な体験ではないでしょうか。

第62回の新社殿への遷御は10月。新しい檜や茅葺きの香りに迎えられた神々は再生してさらに威力を増し、明日へと歴史を刻んでいきます。ぜひまた参拝したいものです。

(写真は伊勢神宮・外宮)