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2011年12月13日 by 栗本 智代

“見習い”から20年〜CEL25周年記念シンポジウムを終えて〜

  先月のはじめ、当研究所設立25周年記念シンポジウムを無事開催することができました。CELからのメッセージ「"""つながり"から持続可能な社会を実現する」と題し、研究員全員が、各専門分野における研究の課題や取り組みを紹介しながら、問題提起をしていきました。多くの方にご来場いただき、またあたたかい言葉、激励やアドバイスをいだだき、心新たに再スタートを決意しております。

 私は、1991年の秋に、商品開発部からの異動でエネルギー・文化研究所(以下CEL)に配属になりました。大阪ガスに入社後3年半たった頃で、特に技術的な専門分野ももたず、社内組織の全体像さえまだ漠然として理解できていなかった時期です。商品づくりの手伝いをしたり、販売したりして具体的に目に見える数字や成果で社会人として仕事をしている手ごたえを感じたかった、そんな思いとは逆の、“何をやっているのかよくわからない研究所”への異動でした。

 当時、CELは立ち上がってから4年目、研究員は所長を含め10人でした。所長からは「社会のためになることなら、どんな切り口でもいいから。自分でテーマを探しなさい。ガス屋としてではなく、一生活者としての視点を持ちなさい」という宣告。世の中は、まだバブルが崩壊する前で、あちこちに企業内研究所ができていた頃です。ただ他の研究所と異なるのは、本体の業務を支援するような調査研究ではなく、全く外に視点を向けていたことで、社会のあるべき方向性を問う中で、自社の進むべき道を見直し是正する、といった目的もあるのだと説明を受けました。それは理解できましたが、では自分は何ができるか、全く見当がつきませんでした。

企業のどの部署でもたいていは、入社して数年の新人には、これを計算しろ、あれをまとめろと嫌というほど指示が与えられるものです。それが全くないのです。正直、戸惑いました。指示待ち人間ではダメだと気づかされました。とりあえず勉強をしなくてはと、手当たり次第に気になる書籍を手にとり、セミナーにも足を運びます。マーケティング論、ライフスタイル論、住まい論……。多少の知見は得られましたが、研究というのは、他の人がやっていないことに着手し探求し発表しなくては、評価されないものです。どの分野も、一流の有識者が華々しく活躍して独自の理論を展開している、太刀打ちできるはずがない、と当時は、日々が苦痛でたまりませんでした。自分の名刺がまったく重みを感じない、社会人として自分の存在意義がゼロであるとさえ思ったつらい日々が、1年間以上続きました。私は、それを1年間の五月病と称しています。“見習い”から本当の“研究員”になるのに数年かかると上司から言われていましたが、確かに時間がかりました。その間、所長、副所長が、あの手この手で、興味を持てそうな情報や機会を与えてくれたり、偶然にも私にコラムの依頼があった時には、文章の書き方について“て・に・を・は”レベルまで手取り足取り指導してくれたりと、気長に見守ってくれました。

先輩研究員たちは、建築・土木、経済あるいは編集といったもともとの専門分野を生かしてテーマを見つけてネットワークを拡げたり、マイペースでレポートを書きながら、各種セミナーやワークショップを楽しんでいたようですが、実際は悩みも多かったと思います。社外から高い評価を受ける講演活動や執筆、新聞コラム掲載などの発信は、ほとんど所長ひとりで担っていた状態が、CELの初期でした。創立5周年記念シンポジウムでは、「ジオ・カタストロフィー」というテーマで、舞台に登壇したのは、所長以外は社外の著名な先生方ばかりでした。所員はほとんどが事務・裏方スタッフに徹し、ただ勉強させてもらう立場でした。

あれから20年。今回の記念シンポジウムでは、研究員全員が、各自が進めるテーマで、実践を伴ったプレゼンテーションを行うことができました。今では個々の研究員が、各種講演会や大学への出講、論文や新聞・雑誌コラム執筆、シンポジウムやイベント等の企画や運営など、立ち上げ当初からの課題であった“生活者の視点”を継承しながら各々の得意分野での発信を、精力的に行っています。このような企業内研究所は、国内で他にはないかもしれません。各所で、サポートしてくださった方々なくしては、研究所の継続はありえなかったと思います。ネットワークの力を改めて感じるとともに、CELの初期のことを思い起こすと、組織も私自身も恵まれた環境で成長できたことが嬉しく、正直、感激しました。支えてくださった全ての方々に感謝の気持ちでいっぱいです。

  今後、研究所として、あるいは個人として、次のステップへの飛躍が期待されており、責任とプレッシャーを感じております。これからも、ぜひ、ご指導ご鞭撻をお願いいたします。

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