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2011年11月04日 by 当麻 潔

自給率いろいろ

先週末、高校の総合学習の時間(環境分野)の授業に他の2人の講師と一緒に行きました。私は「エネルギー」、他の二人は「農作物」と「食生活」をテーマに説明をしましたが、3人の共通のキーワードは「自給率」でした。表題の「自給率いろいろ」の「いろいろ」ですが、二つの意味があります。一つ目は、自給率の算出方法です。たとえば、食料の自給率の場合、重量ベースの自給率、カロリーベースの自給率そして生産額ベースの自給率があります。二つ目は、個別種目の自給率です。授業では、食料の自給率が39%(カロリーベース)で、エネルギーの自給率は一桁低く4%であると説明しましたが、この他、食用魚介類の自給率(62%)や木材自給率(26%)等の自給率があります。今回は、レアメタルの自給率について考えてみます。

レアメタルとは、プラチナ、ニッケル、リチウム等液晶テレビ、携帯電話、デジタルカメラ等のIT製品や自動車を始めとする高付加価値・高機能製品の製造に必須な希少金属であり、現在31種類が対象となっています。

私たちが日ごろ使っている携帯電話には、多くのレアメタルが使われています。たとえば、液晶画面にはインジウム、カメラにはニッケル、リチウムイオン電池にはリチウム、コバルト、バイブレーションモーターにはネオジム、コンデンサにはパラジウム、ニッケル等が使われています。その他、金、銅、アルミニウム等の有用な金属も多く使われており、レアメタルや有用金属が多く使われている製品は都市鉱山とも言われています。

環境省の資料によると、携帯電話の世帯普及率は90%を超え、保有台数も1世帯2台以上あります。平均使用年数は3年を切っており、そのため、年間4,000万台以上廃棄されています。すなわち、レアメタルが使用された製品を多く製造し、また多く廃棄しているというのが現状です。

資源には限りがあり、ましてや“レア”が付いている“メタル(金属)”は、このような状況が続けば枯渇してしまうかもしれません。レアメタルの自給率は金属によって異なりますが、020%というのが現状です。政府は、この自給率を2030年に50%まで上げようとしています。自給率を上げるためには、分子を増加させ、分母を削減すれば良いのですが、携帯電話については、今後、ますます新たな機能への要求が高まり、需要の増大が予想され、現在の状況では分母が大きくなると予想されます。このため、今後の需要増大に対して、レアメタルの使用量を削減できる技術や代替材料の開発等により分母の増大を抑制することが必要です。一方、国内でのレアメタルの発掘(たとえば周辺海域の海底)や代替材料の開発あるいはリサイクルによる資源の回収等で分子を増大させる対策を進め、分母の増加をカバーすることが必要です。

携帯電話は、当初の単なる電話からユビキタス時代のモバイルに進化していき、1台で何台もの役目を果たし、結果として、家全体で省エネルギーが図れる可能性があります。今後の携帯電話のレアメタルの削減およびリサイクル技術の開発による自給率の問題の解決と、新たな機能付加による生活の豊かさの向上や社会貢献に期待したいものです。

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