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情報誌CEL

佃 一輝

2018年03月01日

煎茶と文人

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2018年03月01日

佃 一輝

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情報誌CEL (Vol.118)

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江戸時代の上方に花開いた文人文化。
木村蒹葭堂や上田秋成など、文事を重んじ、風雅を好み詩文に秀で、世事にとらわれず自由に生きた文人たちは、当時中国から流入した煎茶を批判的に継承し、独自の文化にまで高め上げることで、さらなる商都大坂の発展を支えたという。
煎茶と文人のつながりの歴史から、今学ぶべき豊かな文化創造のあり方を知る。

文人の煎茶

10年ほど前まで当たり前に飲まれていた煎茶も、ペットボトルの多種の中に埋もれて、日本茶の代表というわけにはいかなくなった。家庭から急須は無くなり、茶葉を見たこともない人が多数派になりつつある。だがそもそも、煎茶は日常の飲み物であったのだろうか。
実は煎茶は、文人と呼ばれる知識人達が、美の表現に用いた特殊な嗜好品であった。日常のものではなく、むしろ非日常に浸るための手段でさえあったのだ。現在の煎茶のイメージと一致し難いなら、文人の行う煎茶、文人茶と言い換えてもよい。この稿は、そんな文人茶についてである。
「煎茶道」といういい方がある。茶道に倣って礼式を整え、煎茶を用いた茶道として幕末以来行われている。生活の場の煎茶に式法を加え、社交性と芸能性への指向をもつものが煎茶道であろう。それはまた、文人茶の変形と言えなくもない。文人茶のいれ方(手前)や飾り方(しつらえ)には、芸能化や定型化への要素を孕んでいた。日常を美化しようとする立場とは、式法と礼法を接点にして合体する。非日常的な作法が、日常の美の指標になることで煎茶道は形成された。しかし「おもてなし」の語に集約される煎茶道の礼式は、社交のわざとして大衆化をめざし、非日常と非社交性の文人茶とは、やはり相当に異なるのである。
文人は非日常を「去俗」といい、非社交性を「自娯」といった。その去俗自娯の煎茶文化を語るには、今一度そもそもと始めなくてはならない。

「文会」の茶──団茶

茶はそもそも中国からの渡来文化である。しかも飲料として輸入され、茶の木が移植されたというのではない。まず茶の文化が舶載され、茶文化の表現に必要な茶樹が植えられたのである。茶は文化が第一義であり、その文化がたまたま飲料でもあったにすぎない。
最初の伝来は平安初期、遣唐使によるものであろう。ことに唐の宮廷文化を積極的に受容した嵯峨天皇(786〜842)周辺がその担い手であった。
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