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渋沢栄一とサン・シモン主義

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情報誌CEL

鹿島 茂

2017年03月01日

日本の資本主義はどこからきたのか 
渋沢栄一とサン・シモン主義

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2017年03月01日

鹿島 茂

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情報誌CEL (Vol.115)

ページ内にあります文章は抜粋版です。
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「日本資本主義の父」渋沢栄一は、その異名どおり第一国立銀行や東京証券取引所など、多種多様な企業の設立・経営に関わり、抜本的な社会改造を経て日本に資本主義をもたらしたことで知られるが、そのアイディアはどこから来たのか。渋沢が出会ったフランス第二帝政期の社会・経済システムを見直すことで、日本における資本主義の知られざる起源を明かす。

経済史に埋もれた見えざる「糸」

フランス文学者である私がなぜ渋沢栄一に興味を持つようになったのかと尋ねられることが少なくない。
きっかけは1992年頃、電通総研の「企業文化研究会」で、C先生の渋沢栄一に関する発表を聞いたときのこと。C先生は、渋沢が近代的資本主義の基礎となる金融制度に開眼したのは、徳川昭武の随員(庶務・会計担当)としてパリ万国博覧会に赴いたさい、名誉総領事として一行の案内役となった銀行家フリュリ=エラール(Flury-Hérard オランダ風発音ならフロリ=ヘラルト)から手取り足取りで銀行、株式会社、公債、社債、株式取引所など金融システムを教えられたからであると解説された。
ところで、私は『絶景、パリ万国博覧会』を上梓したばかりで、フランス第二帝政の社会と経済に多少とも詳しくなっていたので、渋沢がフリュリ=エラールを介して学びとったその社会・経済システムというのは、サン・シモン主義のそれではないかと質問したのである。
するとC先生はサン・シモン主義についてはエンゲルスの『空想から科学へ』で知っている程度で、第二帝政でそれがどのくらい実現されたかということに関して自分はまったく知らないと正直に答えられた。私はこの答えに驚いたが、その後日本の経済史家やフランス史家の第二帝政理解の実態を知るに及んで、サン・シモン主義というものがほとんど研究の視野に入っていないという点においてC先生が例外ではないことに気づいた。
ひとことでいえば、1992年の時点において、日本の経済史家、フランス史家においては、マルクス主義の影響が圧倒的で、第二帝政およびサン・シモン主義に対する理解のレベルはけっして高くはなかったと言わざるをえないのである。
では、それなりに層が厚い渋沢栄一の研究者および伝記作者はというと、こちらはフランス語を解する人が少なかったこともあり、在仏中に渋沢が吸収した社会システムを研究し直そうという意識は希薄であった。
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