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季刊誌CEL

高野 秀晴

2016年03月01日

「倹約」とは何か 石田梅岩の思想と行動

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2016年03月01日

高野 秀晴

住まい・生活

ライフスタイル
消費生活
その他

情報誌CEL (Vol.112)

ページ内にあります文章は抜粋版です。
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「倹約」とは何か 石田梅岩の思想と行動

江戸時代の思想家、教育者である石田梅岩の教えには、日々の暮らしと密接に結び付いた「学び」の本来の姿がある。人の人たる道を説き、よりよく生きるために自らの「心」を問い直すその教えは、経済の混乱に揺れる当時の民衆を魅了し、日本全国に広がった。現代に至るまで「石門心学」として継承される思想のエッセンスを「倹約」の意味に探り、梅岩自身の実践をたどり直すことで、これからの学びの在り方を考える。


学びと暮らしの関係


本来学びとは、よりよく生きるための営みであり、日々の暮らしと密接に結び付いているはずである。学びは日常の暮らしのなかから生まれ、日常の暮らしに寄与してゆく。ところが今日、学びと暮らしの関係は必ずしも明確とはいえない。例えば、ありきたりの話だが、受験に備えて勉強に励み、その結果、志望校に合格したとする。確かにその勉強は、その人の境遇を変え、将来を明るいものにするかもしれない。けれども、志望校合格という結果は、その人の学びの質や量をその人以外の人や組織が評価したものである。合格という結果は、その人に達成感やその後の意欲をもたらすかもしれないが、学びそのものがその人自身にどのような意味をもたらしたかまでを示してくれるわけではないのである。
以下、学びと暮らしの在り方を考えていくにあたって、江戸時代の思想家、教育者である石田梅岩(1685〜1744)にスポットライトを当ててみたい。梅岩は、一町人として日々の仕事に励む傍ら、ほぼ独学で学問を学び、静坐をするなどの修行に励んだ。その結果、自己と世界とが一体化するというある種の神秘的な体験を遂げたのだった。ところが、そうした体験をもとに梅岩が人々に説くのは、「倹約」や「孝行」というなんとも身近でありきたりの内容であった。その教えは、町人を中心とする当時の人々に受け入れられ、弟子たちは、それぞれの家業に励みつつ、梅岩の教えを学び合う学習組織を形成していったのである。今日、その教えは、石門心学と呼ばれている。


「人の人たる道」


まずはじめに、石田梅岩の生涯について簡単に触れておこう。梅岩は、1685(貞享2)年に丹波国桑田郡東縣村(現在の京都府亀岡市東別院町東掛)に生まれた。農家の次男であった梅岩は、11歳で京都の商家に奉公に出た。奉公先の都合で一旦帰郷するが、23歳の時に再び京都に出て、呉服商に奉公に入った。