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情報誌CEL

神崎 宣武

2015年07月01日

コラム「衣食住遊」 酒に礼あり

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2015年07月01日

神崎 宣武

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情報誌CEL (Vol.110)

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「御神酒(おみき)あがらぬ神はなし」という。
古く、酒は、まつりにあわせて仕込むものであった。そして、「この御酒は わが御酒ならず 大和なす 大物主の醸し神酒」(*)と、崇神天皇の代(4世紀ごろ)に掌酒の活日がうたったように、酒造りそのものが、神がとりもつものであった。
現在も、神まつりに、酒は欠かせない。神饌では、最上位にそれが供えられる。
まつりのひとつの意義は、神人共食(共飲)にある。その代表的な礼席が直会である。直会は、楽座になっての酒宴(無礼講)ではない。ここまでは、あくまでも儀礼(礼講)なのだ。そこに、酒が深く介在するのである。
直会の顕著な伝承例は、神社での祭典の直後に行なわれるそれである。神酒を下して頭屋(当屋)や総代などの参列者がいただく。神々が召しあがった酒を人びとが相伴することで、「おかげ」が分配されたとするのである。
直会での作法は、必ずしも統一されているわけではない。が、正式なかたちは、「式三献」(式献)にある。原則は酒一盃と肴一品、これが一献である。これを三度とりかえて供するのが式三献である。神人のあいだだけでなく、人と人とのあいだの契約儀礼としても広まった。神聖なる酒を肴で口をあらためながら三度も念を入れて丁重に飲み干すことで、互いにある約束を固めたとするのである。
その式献の形式は、平安朝での宮中儀礼にはじまる、とされる。のちに武家社会においては、たとえば出陣の宴。ここでの肴は、打鰒(のし鰒)、かち栗、昆布の三品が喜ばれた。これで、「打ち勝ち喜こぶ」と相なるのだ。式献の内容はそのときによって変わるものでもあり、その組み合わせをつくるのを「献立」といったのである。
民間においては、祝言(結婚式)での「三三九度」がよく知られるところだ。また、かつては親子盃・兄弟盃・姉妹盃などが存在した。これらは、酒を介しての人と人との固めである。これを、「盃事」ともいった。きわめて日本的な契約儀礼、といえるのである。
現代では、そうした式献・直会・盃事、つまり礼講は、後退したかのようにみえる。が、たとえば、かつての式献における酒と肴の献立の習俗は、現代にも伝わる。居酒屋で酒を注文すると、頼まないのに先付け(お通し、おつまみ)なる一品がでてくるではないか。その代金を請求されたとしても、それに異議を唱える人もいないだろう。


(*)『日本書紀』崇神天皇8年12 月条の15 歌

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