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デザイン・ユア・ライフ

豊田 尚吾

2014年10月29日

ウェルビーイング講座<生活経営論>(No.2-2)「交換に感謝」

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媒体(Vol.)

備考

2014年10月29日

豊田 尚吾

住まい・生活

消費生活
ライフスタイル
その他

デザイン・ユア・ライフ

 

交換という知恵

 私たちは、現在、物質的な豊かさを享受しています。様々な食材、暑さ寒さをしのげる住居、清潔な衣服、数百キロ離れたところにでも一日でいける交通網、手前味噌ではありますがいつでもすぐに火のつくガス…。当然のことながら、そのほとんどは自分1人で作ったものではありません。誰かの協力を得て手に入れています。ただし、対価なしで恵んでもらうことも少ないはずです。つまり何かと交換で手に入れています。

 

 交換という経済取引は、ある種画期的な行為です。AとBを交換することで「双方がハッピーになる」なんて、当たり前だけれどもすごいことだと思いませんか。人間以外の動物が何かものを交換している姿を見たことがありますか? 厳密に言えば、毛づくろいなど、サービスの交換はあるかもしれません。クマノミとイソギンチャクのような共生関係もある種の交換かもしれません。親鳥から子鳥への一方的な餌の提供はあるでしょう。しかし、隣の家の犬が向かいの家の猫と笑顔で餌を交換しているところは見たことがないはずです。

 

 人間はわらしべ長者のように交換に交換を重ね、そこに分業による生産を組み合わせることでとてつもなく豊かな社会を作り上げました。しかし、日頃、どんなに偉そうに振る舞っている人でも自分の着る普段着ひとつ自分では作れない世の中なのです。繰り返しますが、現在自分が楽しんでいる幸福(前回とのつながりでいえば“効用”)のほとんどすべてのものが他者のおかげで実現しているのです。

 

 そんな当たり前のことですが、多くの人はそれを忘れがちなのではないかと思います。奇跡のような“交換”という行為をさらに円滑にする道具が“お金”です。物々交換だと両者の好みが一致しなければ“交換”が実現しません。私はリンゴが欲しいけれど、リンゴの持ち主は私の持っているミカンは欲しくない、とか。

 

 しかしお金だと一方の好みだけで取引が実現可能になります。リンゴが欲しいので100円差し上げます。はい、それだけいただければリンゴをお渡ししましょうという具合に。もちろん、200円くれなければ渡せないとなれば、交渉決裂という可能性はあります。しかし、ミカンと交換してくれる人を探すよりはよほど楽でしょう。

 

交換に感謝すること

 ということで、お金の発明は「交換」の知恵と同じくらい画期的なのですが、問題もあります。それは不遜な振る舞いです。といっても“お金”自体が悪いわけではありません。一般にお金を払う側は財・サービスを提供する側より優位に立つことが多くなるように見受けられます。

 

 “交換”するからにはお金を払う側も、それ相応の価値があると思うから“買う”はずです。本来なら交換の当事者双方がそれに感謝するのが当たり前ではないかと思います。しかし、世間の取引を見ていると、お金を払う人の方が偉そうにしていることが多いように感じます。身近なところでも、食堂で注文をぶっきらぼうに頼む人がいますね。「きつねうどん!」…愛想がないなぁと。店を出るときにも「ごちそうさまでした」くらい言ってもいいのではないかと思ってしまうのは細かすぎるのでしょうか。

 

 私たちは時々冗談で「金のなる木があればなぁ」ということがありますが、コストなしで価値創造ができるという意味でいえば言葉は誰もが持っている金のなる木だと思います。ありがとうというだけで相手に非常に大きな喜びを提供することができるわけですから。

 

 この「感謝を言葉にする」という点で男女に明確な差があるように思うのは私だけでしょうか。日ごろ他人の振る舞いを見ていると、経済的な取引(交換)の場でお金を払いながらありがとうという人は女性が圧倒的に多いように思います。当研究所のアンケート調査(※)で検証してみましょう。

(※)大阪ガス(株) エネルギー・文化研究所「生活意識に関するアンケート」:インタネット調査、調査実施日2007年03月26日(月)〜 2007年03月29日(木)、回答者数全国5985人

 

 2007年というちょっと古いデータであることはお許しください。「あなたが何かの製品・サービスの提供の代わりに『お金』を”支払う立場”であるとき、自分から、“ありがとう”というのはどのようなときですか。」という質問をいくつかのシチュエーション別に行いました。基本的にどれも同じような傾向でしたので、一つだけ取り上げます。「単価1000円以内程度の飲食店」の場合、下のような結果となりました。

 

 

 

 自己申告のデータとはいえ、明らかに女性の方がお礼を言う頻度は多いという結果となりました。統計的にも有意(意味がある)です。やはり経験からの判断と一致しました。この理由については別途考える必要がありますが、結果として女性のリードする「ありがとう」が社会を和ませてくれていることは評価すべきではないかと考えます。

 

 せっかく“交換”という大発明をしたのですから、常に“感謝”の言葉を添えたいものです。それもウェルビーイング実現の第一歩であると思います。