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情報誌CEL

正高 信男

2012年11月01日

ICT社会と「キレる」人々

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2012年11月01日

正高 信男

住まい・生活
都市・コミュニティ

ライフスタイル
その他

情報誌CEL (Vol.102)

ページ内にあります文章は抜粋版です。
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―ICTはツールにすぎない―
 ICTが人類の生活スタイルを劇的に変化させると言われ始めてから、すでにもう久しい。Eメールやインターネットの普及、そしてスマートフォンが登場するや、またたく間に市場を席巻してしまうなかで、私たちの社会は文字どおりユビキタス状況を迎えようとしている。いつでも、どこでも、誰とでも「つながる」ことのできる暮らし―。
 しかし反面、新聞やネットニュースで配信されるのは、「キレる」犯罪、いじめ、孤独死等々。そういう出来事の件数は減少するどころか、むしろ増加の一途をたどっているように感ずるのは私だけではないだろう。たとえば、一緒に酒を飲んだ会社の同僚同士が、帰宅途中で口論になり、カッとなって一方が駅のホームで相手を線路に突き落したりするような、人間関係の危うさを示すような事件も、近年後を絶たない。情報ネットワークが発達しても、人間同士の絆はなかなか密になっていかない印象を受ける。
 結局のところ、ICTがどれだけ飛躍的に発達を遂げようとも、それは所詮ツールにすぎない。だから有効
に活用できるか否かは、ひとえに使い手の私たちにかかっている。しかも使い手たる人間の資質は、そう易々と変化し得るものではないのである。

―注目される「発達障害」―
 ICTの発達と人間の資質の可変性が作り出す矛盾は今日、「発達障害」の顕著化という現象として私たちの前に出現している。「アスペルガー症候群」という診断名が、一般の人々にも広く知られるようになったのも、その一端であろう。
 世の中には、生まれながらに社会性が乏しいという人物が決して少なくはない。知能は全般にわたってきわめて普通であるにもかかわらず、他人とのつき合いや交渉を苦にする人々、あるいは、相手の気持ちや場の空気が読めない人々。そしてまたそういう人々が、周囲とのコミュニケーションを適切にとれない結果、トラブルを引き起こし時として暴力沙汰になるという事例などもよく耳にするようになってきている。
 私自身、研究者としてこのような障害の研究と支援に関わっているのだが、非常にしばしば「あのような症例は最近、増えているのですか」
という質問を受ける。そうではない。実は環境が変わったのだ。
 そもそも、このような障害は、圧倒的に生物学的なものなのである。そう一朝一夕に、同様の資質を持った人の数が増えたり減ったりするものではない。実際には過去にも今とまったく同じように、社会性の乏しい人々は歴然として存在していた。その数は、全人口の5〜10%にも及ぶ。ただ今日と異なるのは、かつては人づきあいが苦手であったところでそのことは当人にという質問を受ける。そうではない。実は環境が変わったのだ。
 そもそも、このような障害は、圧倒的に生物学的なものなのである。そう一朝一夕に、同様の資質を持った人の数が増えたり減ったりするものではない。実際には過去にも今とまったく同じように、社会性の乏しい人々は歴然として存在していた。その数は、全人口の5〜10%にも及ぶ。ただ今日と異なるのは、かつては人づきあいが苦手であったところでそのことは当人にとって、日常生活を営む上で何の支障にもならなかったという点にある。農業や林業に従事している限りでは、そのことはほとんどハンディキャップにならないだろう。職人にいたっては、むしろ人と口をきくのがおっくうな方が、長時間の骨の折れる作業に打ち込むには、有利であったかもしれない。

 

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