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情報誌CEL

歌田 明弘

2011年03月25日

時の話題 今後の電子書籍の展開と著作権

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2011年03月25日

歌田 明弘

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情報誌CEL (Vol.96)

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 アマゾンがアメリカで読書端末「キンドル」を発売し、電子書籍事業を開始したときにはニューヨーク・タイムズのベストセラー・リスト112点中101作品を含む9万点のタイトルをそろえていた。一方、昨年末に始まった日本での電子書籍事業では、当初の発表と違って、多いところでも2万点ほどしかなかった。
 こうした違いが生じた背景には、電子化の作業に思いのほか手間がかかったなどの理由もあったようだが、日本とアメリカの権利処理の違いも大きかったと見られている。
 アメリカはクルマ通勤する人が多く、運転しながら聴けるオーディオ・ブックが大きな市場になっている。そうしたこともあって、出版のさいに著者と二次利用を含む包括的な契約を交わすことが一般化している。
 日本では、包括契約どころか契約書すら交わされていないこともある。書協が2006年3月に発表した「出版契約実態調査」では、書面による出版契約書が交わされた割合は45.9%にすぎなかったという。
 紙の本について出版契約が交わされていたとしても、電子化にさいしてあらためて契約する必要がある。そのためタイトル数がなかなかそろわないということが指摘されている。
 こうした指摘は間違っているわけではないが、しかしそうなった背景には、そもそも電子書籍で充分な収益を得られるようにはなっていない、それどころか後述するように、電子書籍の時代が本格的にやってくると出版社や著者の多くが困窮しかねないという、より根本的な問題がある。そのため出版社も積極的に電子化を進めようとはしなかったし、著者を説得する材料も持っていなかったというのが実情だ。
 インプレスR&Dの「電子書籍ビジネス調査報告書」によれば09年度の電子書籍市場は574億円とのことで、アメリカの倍以上の大きさだった。しかし、89%は携帯電話向けだ。しかも、少年の同性愛や少年少女の恋愛をあつかった特殊なジャンルのコミックスが多く、若い女性がおもな購入者だ。それ以外の電子書籍は、著名な作家のものでも劇的に売れていない。ほとんど売れないものを電子化しても利益がでないので、著者と交渉して電子化する手間ひまをかけられないというのが出版社の本音だ。
 それでも小説等の電子化が少しずつ行なわれてきたのは、絶版や品切れにしたのでは著名な作家に対して申し訳が立たず、また権利を手放してIT系の企業に電子化の権利をさらわれてしまうことを懸念したためでもあった。

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