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情報誌CEL

江鳩 景子

2011年01月11日

近くの山の木で家をつくる意味

作成年月日

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備考

2011年01月11日

江鳩 景子

エネルギー・環境
住まい・生活
都市・コミュニティ

地域環境
住宅
地域活性化

情報誌CEL (Vol.95)

ページ内にあります文章は抜粋版です。
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 「森の同義語としての山の圧倒的存在と、人と山が共存する地帯としての田んぼと畑の連続」
 先日、欧州より日本を訪れた知人は、電車や車で旅し、日本の風景の印象をこう語ってくれた。自然環境の減少や里山の荒廃などが叫ばれて久しいが、日本には先進国にも関わらず、驚くほど豊かな自然が残されている。また知人は桂離宮や伊勢神宮なども観光したが、「なるほどこのすぐれた木造建築は、豊かな森林や自然がなくては育めない」と納得していた。このような話を聞くたびに、私は日本人であることを誇りに思う。

 私たち日本人のDNAの中には、森と共に生き、文化を生み出し、それを脈々と継承してきた歴史が深く組み込まれ、現代を生きる私たちの生活の様々な場面で表れる。その一つが、住宅を建設する時である。日本人の83.2%が、住まいを建てる時に木造を希望しているとの調査(※1)がある。日本では、東京のような大都市からでさえも車で1時間も走れば、緑豊かな風景が広がり、家族や親戚が山を持っているという話も珍しくない。「都心から近いのだから、東京の山の木を使って家を建てたい」とか、「家を建てる時は、おじいさんの山の木を使おう」とか考えるのは当然だ。しかし、この当たり前な要望の実現が、たいへん難しいものになってしまっている。山の木を伐ったり、地域の木で家を建てるのに誰に頼んでよいのか分からず立ち往生してしまうのだ。今まさに手を触れている木で家を建てるよりも、電話でカタログを取り寄せて、新建材や外材で家を建てるほうが、はるかに簡単になってしまっているのだ。

 なぜ地域の木を使って家をつくることが、これほどまでに難しくなってしまったのだろうか? かつて山の木は、その地域の人の手で伐られ、隣組をはじめとした「結」の仕組みで、お互いに助け合って建てられていた。過疎化や高齢化のため、このような仕組みも激減し、そのノウハウは継承されていない。また山の木の伐採・製材から建築に至るまでのチェーンも、安い外材の台頭によって崩れてしまった。そして、結果として木材自給率は2割を切り(※2)、山に手が入らず、ビール瓶のような細い木が立ち並ぶようになってしまったのだ。

 『近くの山の木で家をつくる運動』は、このような状況を憂い、私たちにとって一番身近なマテリアルである木を使って家づくりをすることで、木材チェーンを活性化し、山に活力を与え、さらに地域経済を再生し、そしてそのことで、地域の木を使っての家づくりが当たり前になるようなサイクルをつくりたいという思いから始まっている。

(※1)内閣府「森林と生活に関する世論調査」(2007年5月実施)より
(※2)木材自給率は、2000年に18.2%まで落ち込む。現在は回復傾向にある。林野庁編「平成20年森林・林業白書」他より

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