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情報誌CEL

豊田 尚吾

2010年07月01日

つながりの原点としての家族 〜共感、相互依存認知、責任〜

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2010年07月01日

豊田 尚吾

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情報誌CEL (Vol.93)

ページ内にあります文章は抜粋版です。
全文をご覧いただくにはPDFをダウンロードしてください。

-人・まち・環境の未来研究会2010-
 つながりの原点としての家族を考えることが、今回の特集テーマである。本稿では、つながりをコミュニケーションととらえる。家族のコミュニケーション問題を検討するにあたり、最近、筆者が経験したことから話を始めたい。
 今年(平成22年)に入り、筆者は「人、まち、環境の未来を考える研究会2010」という集まりに参加した。日ごろ感じている素朴な疑問(もやもや感)を取り出し、ディスカッションしようというのが、研究会の趣旨である。自由な議論を通じて、人、まち、環境の未来に関して、何か気づきを得ることができれば、という目的意識を持ち、弊社内メンバー6名と事務局で研究会が立ち上がった。
 全4回、うち2回は外部のゲストに加わってもらい、会を進行した。結果、事務局のとりまとめで10の切り口を抽出し、それを1枚のMAPに落とし込んだ(もやもやMAP、次ページ)。結果的には、多くが人と人とのコミュニケーションに関わるテーマであった。
 その中でも、家族と関係するような話題がいくつか取り上げられた。本稿では、そこでの議論をヒントに、「つながりの原点としての家族」を考えてみることにしたい。ただし、以下の考察はあくまで筆者の見解であり、研究会とは切り離されたものであることはご了承願いたい。

-もやもやMAPから-
(1)衰える身体知・想像力
〜体も心も頭も、使わへんから退化してしまう〜
 自分の子どもを心配してかけた言葉に対する、子どもからの反応が「大丈夫だよ」だった。しかし、その根拠は全くなく、実際には「大丈夫」ではない。このような事例が紹介された。家族を心配するという、本質的なコミュニケーションがうまく機能していない。といって、親子関係が悪いわけではない。子どもは自分の問題を、自分で解決することを選択している。家族に相談したり、頼ったりすることが最善だとは思っていないだけなのである。
 かつて個人が直面する問題の多くは家族の協力で解決してきた。しかし今日、様々な“道具”が家庭外に出現し、存在感を増しつつある。勉強であれば、学校はもちろんのこと、塾、参考書、インターネット、補習授業など様々だ。そうなると、家族の持つ、教育や保護といった機能は、ある程度それらで代替されてしまう。
 このような状況の下、私たちは自分独自の領域をつくるようになり、そこには家族であっても関わらないで欲しいと拒否するようになる。ただし、これは子どもに限ったことではなく、大人(夫婦間など)でも同様である。戦後の、あるべき家族像についての基本理念は「個人の尊厳と両性の本質的平等」であったという(望月1996)。「家族のための個人」から「個人のための家族」へ転換する中で、各人は、独自の領域と、家族で共有する領域の二つがある、との意識を持つようになった。そして、その共同領域で協力し合う状況を「個人化」という。しかし、その個人化が安定していないことが問題なのである。
 実際、家族の外側、即ち市場などで手に入る各種サービスを利用すれば、人に頼ることなく解決できることが増え、家族内の共同領域を小さくすることができる。共同領域を維持するための精神的、時間的コストが大きければ、共同部分は小さくなっていく。結果として、家族とのコミュニケーションの機会が減り、自分独自の領域が相対的に広がっていく。
 それが即、間違いだとか、悪だとかいうわけではない。しかし、個人化の望ましい姿が不明確なまま、バランスを欠いた状態で家族の共同領域が縮小し続けることは問題だ、との意識を持つことは必要であろう。

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