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情報誌CEL

角田山妙光寺

2010年07月01日

「血縁による跡継ぎを必要としない墓」を通じた“結縁”

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2010年07月01日

角田山妙光寺

住まい・生活
都市・コミュニティ

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情報誌CEL (Vol.93)

ページ内にあります文章は抜粋版です。
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-家族をめぐる社会変化に応じた寺の再生と地縁・血縁を超えたコミュニティ形成-
 新潟市の中心部から車で約1時間半。海にほど近く、山にも囲まれた自然の中に創建700年の日蓮宗寺院、角田山妙光寺が佇む。交通の便がいいわけでもない同寺に、全国から多くの人々が訪れる。契機となったのが1989年の永代供養墓「安穏廟」の開設だ。少子高齢化や核家族化、あるいは未婚化や離婚による単身者の増加で近年、家族による継承を前提としない同様の墓が全国的に増えている。妙光寺はその草分けだ。
 「従来の墓制度は、墓と家と宗教がセットとなり直系男子が継承することを前提に成り立ってきました。でも今は社会の基本単位は個人で、跡継ぎのない家族が増えた。そのため墓を考え直し、寺のあり方も変えていこうと考えたのです」と住職の小川英爾氏。 発端は「家の墓」の跡継ぎや入る墓がない人たちからの相談だった。一人娘が嫁いで墓を継ぐ者がいない親。自分たちの入る墓がほしいと懇願する未婚の姉、離婚した妹。また、小川住職自身も子どもは娘4人、妻も2人姉妹の長女で「継承者」はいない。「家の墓」とともに、檀家制度に支えられた寺は今後存続しえないと痛感した。
 「過疎化と高齢化が進む地方では『もう住職はいらない、儀礼さえ残ればいい』とさえ言われます。残るのは墓と建物としての寺だけ。早晩寺は立ち行かなくなる」
 そこで寺が墓を分譲、申し込み者からの管理費と供養料を基金に利息で運営する永代供養墓のアイデアが生まれた。将来に不安を感じていた檀家役員たちもこれに賛同。銀行から約3千万円の融資を受けて「安穏廟」1基目を開設した。円墳を取り囲むように108区画の墓を設け、各墓には宗派を問わず、個人でも友人同士でも自由に入れる。継承者がいなくなれば中央の共同墓に合祀する。利用者は「安穏会員」となり、檀家とは違った形で妙光寺の活動にも参加できる。全国から申し込みが殺到した。予想を上回るペースで計画の4基がすべて満杯になり、2002年には隣接地に新区画を開設。現在もさらに増設を進めている。
 特筆すべきは、会員を核にしたコミュニティが着実に育っていることだ。なかでも毎年8月、合同供養と会員、檀家信徒、地域の人々の交流を目的に開催する「フェスティバル安穏」が大きな役割を果たす。趣旨に賛同した若い応援スタッフも全国から参集する。こうした動きは、かつて地域社会で中核的な役割を担ってきた寺院の再生に他ならない。
 「地縁・血縁を超えた"結縁"が着実に広がっています。これからは仏教者として皆さんの"仏縁"にも積極的に働きかけていきたい」と意欲を燃やしている。

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