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情報誌CEL

針江生水の郷

2009年01月08日

 今も続く水と共にある暮らし

作成年月日

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媒体(Vol.)

備考

2009年01月08日

針江生水の郷

エネルギー・環境

地球環境

情報誌CEL (Vol.87)

ページ内にあります文章は抜粋版です。
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土地柄が独特の水文化を生みだした

 莫大な量の水をたたえ、近畿地方の約1300万人の命と暮らしを支えている琵琶湖。周辺には、古くから水に関するさまざまな生活文化が発展してきた。その中でも、湖西に位置する高島市新旭町の針江地区は、「生水の郷」として広く知られている。

 ここは、背後の比良山系に降った雪や雨が、何年もかけて伏流水となり、やがて琵琶湖に流れこむ土地。豊かな湧き水があるため、昔から人々が住み、集落をつくってきた。

 この針江地区の各家々では、豊富に湧き出す地下水を生活用水として利用しており、そのために設けているのが川端と呼ばれる水仕事用の施設である。「生水の郷委員会」の石津文雄さんによると、「かつては、琵琶湖畔のあちこちに川端はあったそうだが、今これだけまとまって現役で使われているのは針江地区だけ」とのこと。

 もちろん、水と水路をきれいに保つには、各戸の協力が欠かせない。昔からこの地域では、それぞれの家で水をどう扱うかという、きちんとしたルールと信頼関係があった。

 「川端は、地下水が湧き出る『元池』と、その周囲の『坪池』や『端池』で成り立っていて、私たちは、それぞれをうまく使い分けているんです」と石津さん。

 具体的には、元池の水は、いちばんきれいな水として飲み水や炊事用に使われる。次の坪池では野菜などを洗ったりするほか洗顔などもし、さらに次の端池では鍋や食器を洗う。器についたお焦げや食べかすなどは、そこに放されている鯉たちのエサとなり、水をきれいにしてくれる。「魚たちとうまく付き合いながら、水を大切に使う工夫が古くから受け継がれてきたんです」。

 石津さんが副代表をしている「生水の郷委員会」が誕生したのは今から5年前のこと。そのきっかけは、NHKハイビジョンスペシャル「映像詩里山・命めぐる水辺」の中で、琵琶湖畔の生き物たちの生態とともに、この地の川端の暮らしが紹介されたことだという。

 「地域の自然、景観、湧き水の文化などに関心を抱いた来訪者が一気に増えたのですが、その中の、心ない一部の人が個人の家を覗き見たり、炊事場の道具を動かしたりしたことから、住民が不安感を持つようになったんです。そこで町の有志が集まって、地元の人が安心できて、来訪者も満足して見学ができるようにと、ボランティアの組織を作りました」

 同会では、落ち着いて町を見学したい人たちに対して、有償でガイドを実施している。集落を巡る水路網や湧水を利用した川端を見学し、さらに、川に戻された水を最後に浄化する琵琶湖畔のヨシ群落にまで足を伸ばす。「水は森から生まれて琵琶湖に流れ込みます。それらはすべてつながっているんです」と石津さん。

 昔ながらの佇まいを色濃く残す静かな旧家が並ぶ針江の町を歩くと、水路を流れる澄んだ水が各所で目にとまる。この町の人たちは、湧き水だけでなく、これらの水も含めて、自分たちの周りにある水を「しょうず」と呼ぶ。その名の通り、この地の清らかな水は、まさに「生きた水」「生きる水」「命の水」なのだということが感じられてくる。

 

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