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2017年09月04日 by 池永 寛明

【起動篇】 大阪エトランゼ ─ 過去と外から学ぶ

     

 

元禄時代も、大坂は「観光都市」だった。大坂城や四天王寺、住吉大社参拝や、天下の台所の大商店見学に加え、大坂の33ヵ寺の観音めぐりが流行していた。全国から来た観光客を、教養豊かで芸達者な遊女が大坂を案内する。朝から1番礼所の太融寺を時計まわりに大阪を18キロ、33ヵ寺を1日かけて歩く。夕方に船場の中心にある最後の礼所「御霊神社」にたどりつく。1日の旅人たちの観光の疲れを慰め、堂島新地のお茶屋に誘い込み、夜の観光を楽しんでいただくという筋立てである。有名な近松の「曽根崎心中」の主人公「お初」はお茶屋「天満屋」にいた。

 

爆買や民泊を中心に「インバウンド」が捉えられがちであるが、近畿を訪れる外国人は40km圏内のコンパクトな京・阪・神に、奈良・滋賀・和歌山と近畿各地の点と点を自らでつなぎ、縦横無尽・自由自在に「日本・近畿」を体験する。

 

大阪のインバウンドで、外国人で賑わう「場」がある。日本最長の天神橋商店街にある200年前の江戸時代の大坂船場の町を再現している「大阪くらしの今昔館」。年間60万人の来館者の半数以上が外国人で、着物を着て200年前の町を歩き、商家である店舗兼住宅や畳の上で上方文化に触れる。アジアからの観光客にとっては、その生活文化がなつかしくもあり、「同じであることと、ちがうこと」を今昔館で学ばれている。訪れた外国人は天下の台所といわれた大坂の商業の本質を、“Well-organized(作りこまれたしつらえ)”と“Smart(スマート・合理性)”と“人と人との距離の近さ”にあると捉えている。

 

先日、編集者・作家の松岡正剛氏と弊研究所「情報誌CEL」で対談した。大阪のインバウンドの話題になったとき、「大阪エトランゼが必要ではないか。大阪を知らない外国人と日本人が感じる“ちがうこと”と“同じこと”、“おもしろいと思うこと”、“退屈と思うこと“を学び編集し直し、インキュベーション装置を働かせ、見えるようにすべきではないか」との松岡氏のコメントが印象に残った。大阪を大阪人以外の目で捉えなおすことが必要だということを学んだ。 

 

(エネルギー・文化研究所 所長 池永寛明)

 

〔日本経済新聞社COMEMO 828掲載分